札幌ハプニングを振り返る。


■フラッシュモブという「まちなかドッキリ」の可能性

舞台芸術に関する仕事をしたり、個人的にアートスポットを巡る中で感じたのは、“アートと呼ばれるもの”や“訳のわからないもの”が、札幌ではどうやら生活とは遠いところ(非日常)にあるということ。
今でこそ札幌には無条件に表現物と接触する地下空間の美術館やサイネージなどがあるものの、08年当時は自ら情報を得て近付いていかないと見れない状況だったように思います。
故に美術も演劇も一定のファンは存在するものの、なかなかそこから拡大していかず、むしろ観客が減少していくという問題を抱えていました。


あからさまな探偵がとある親子を集団尾行する「追跡ディテクティブ」(2010.7)

そこで思ったのが、アートに興味ある人も無い人も“まずは一緒に楽しめる”ものを企画するのがいいんじゃなかろうかということ。
図々しくも日常生活の中に入り込んで、娯楽とアートのグレーゾーン(別にアートって思われなくてもいい)に位置するプロジェクトを展開することにしました。

真っ先に思いついたのが「フラッシュモブ」というパフォーマンス。

ちょうど2008年と言えばYouTubeでImprovEverywhereの「Frozen Grand Central」というプロジェクトが爆発的にヒットしていたとき。
これは、ニューヨークのグランドセントラル駅で突然200人を越えるエージェント(仕掛人)が一斉にピタリと動かなくなる(フリーズする)というもの。ご存知の方も多いのではないでしょうか。

この動画を見た当時僕大学生でしたが、公共空間を舞台にここまでエンターテイメント化された“害の無いイタズラ”を徹底的に行っている彼らの表現に度肝を抜かれ、こんなことが自分の周りで起こったらどんなに楽しいだろうと気持ちがすげー高ぶったのを覚えています。

札幌でやるならこういう種類の「まちなかドッキリ」がベストなんじゃないかと確信に近いものがありました。

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