札幌ハプニングを振り返る。


■ 3.「ベタな光景」にこだわり続けた理由

演劇なので、何かストーリーや設定が必要です。複雑なストーリーよりも、公共空間で行う以上は途中から見た人でも楽しめる「分かりやすさ」が大事だと考えました。

また、世界中でそういった活動が広がりつつある中で、日本ならではのアプローチも必要なんじゃないかと考え、僕たちが慣れ親しんだ「アニメ」や「マンガ」などで御馴染みの1シーンを拝借して実際にやってみる、という方法を採ることにしました。

そうすることで、誰もが「ベタ」と思っていても実際には現実世界で起こり得もしない状況を再現することになります。

そういった“既存のイメージを流用”することで、アートにおけるシュミレーショニズムとの関連性も帯びてきます。(ちなみに札幌ハプニングの名前の由来は1959年にアラン・カプロー氏が考案した「ハプニング・アート」からの引用です)

調べた限り、公共事業で「ベタな光景」を再現する街頭演劇はこの世に存在しないということで、いざ本格的に活動を始めました。なので、この3つは札幌ハプニングの生命線なのです。ここが欠けると「どっかで見たことあるような珍しくもない何か」になってしまうので、この3つだけは死守してきました。(そんな訳で、僕が教文を退職したので活動が公共事業ではなくなり、活動一時休止に至りました)

そうして美術と演劇の狭間の、娯楽とアートの狭間で街頭ドッキリ演劇を仕掛ける「害無きイタズラ集団」が完成しました。
ちなみに僕が全体のディレクション、弦巻さんが演出や演技指導という役割分担で、実行するネタはその都度その都度色んな人とネタ出しミーティングをやってました。

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